ロンドンのパディントン駅発。なだらかにつづく丘陵や牧場のなかを、約一時間半の列車の旅。やがて、大聖堂のとがった塔が見えてきます。ウースター市(※写真下)。中世の雰囲気が、いまだに色濃く残る、イングランドの田園都市。街の誇りは、英国最大級の大聖堂と、世界に冠たるウスター・ソース。そして、英国最古の歴史を誇る陶磁器メーカー、ロイヤル・ウースター社です。
ロイヤル・ウースターは、1751年6月4日、15名の株式出資者によって創設されました。中心人物は、医学博士であったジョン・ウオールと薬剤師のウイリアム・デービスの2人でした。彼らは磁器の高い価値と特性にいち早く着目し、当時のヨーロッパの磁器がなしえなかった、雄牛の骨灰をまぜあわせた理想の磁器“ボーンチャイナ”の開発に初めて成功しました。これによりロイヤル・ウースターの名は不動のものとなり、より大きな発展を遂げることになりました。
1788年8月9日、時の国王ジョージ3世(※写真右)とシャーロット王妃が、ウースター社を訪れました。そして、国王ご訪問の翌年3月、英国御用達の勅許、“ロイヤルウォラント”が与えられたのです。
ロイヤルウォラントは、国王自らがお与えになる、一代限りのもの。英国人にとっては、このうえもなく誇り高い栄誉です。この時からウースター社は、その社名にも“ロイヤル”を冠するようになりました。
以来、ジョージ3世〜ジョージ4世〜ウイリアム4世〜ビクトリア女王〜エドワード7世〜ジョージ5世〜エドワード8世〜ジョージ6世、そして現在の女王エリザベス2世まで、英国には数多くの有名陶磁器メーカーがありますが、とぎれることなく、ロイヤルウォラントを与えられているのは、ロイヤル・ウースターただ一社です(※
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